ペットの問題と向き合う

知っておきたい!犬猫マイクロチップ装着義務化

(キッズ・マネー・ステーション認定講師)

 

ファイナンシャルプランナーの髙柳万里です。
令和4年6月以降、犬猫等販売業者については犬または猫への個体識別のためのマイクロチップの装着が義務付けられます。一般の飼い主についても、所有する犬または猫へのマイクロチップの装着の努力義務が課せられることになります。今回、実際の流れや費用について調べてみました。

「個体識別」の必要性

東日本大震災の際、身元不明のペットが多数発生し、被災地で飼い主を探す作業は困難を極めました。迷子になったり、脱走したペットを保護し、迅速に飼い主のもとに返すためには、「個体を識別できること」が不可欠です。だれのペットなのかを明確にすることにより、責任の所在を明らかにし、ペットの適正な管理、保護に繋げることができます。
飼い主としてペットの『所有の明示』に努めるよう、以下の法令にも記されています。

第4 共通基準
1 所有の明示
家庭動物等の所有者は、その責任の所在を明らかにし、逸走した家庭動物等の発見を容易にするため、名札、脚環、マイクロチップ等を装着するなど、動物の種類を考慮して、容易に脱落又は消失しない適切な方法により、その所有する家庭動物等が自己の所有であることを明らかにするための措置を講じるよう努めること。
動物の愛護及び管理に関する法律
(昭和48 年10 月1日 法律第105 号 一部改正 平成11 年12 月22 日)
「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」
(平成14 年5 月28 日 環境省告示第37 号)

そもそもマイクロチップって?

マイクロチップとは、直径2ミリ・長さ約1センチ程の電子標識器具です。
内部には超小型集積回路(IC)があり、外側は生体適合ガラスで覆われています。チップには世界でただ一つの15桁の数字番号が記録されており、この番号を専用のリーダー(読取機)で読み取ることができるため、動物の身元証明の手段として、世界で広く使用されています。

マイクロチップによる個体識別のメリットとデメリット

〈メリット〉
  • 一度埋込むと、原則として交換不要で、抜け落ちたり経年劣化する可能性が低い
  • 所有者が特定できるため、ペットの遺棄や、ペットに関連する迷惑防止となる
  • リーダーは、全国の動物保護センターや保健所・動物病院などに配備されているため、データベースに登録された情報と照合することにより、飼い主とはぐれたペットが戻ってくる可能性が高くなる
〈デメリット〉
  • 初期費用がかかる
  • データの登録手続き等の手間がかかる
  • 専用のリーダーがないと読み取れない
  • 見た目だけでは、マイクロチップ埋込の有無がわからない

マイクロチップ装着の流れ

犬や猫の場合の一般的なマイクロチップ装着の流れをまとめました。

  1. 動物病院に予約
  2. 獣医師によりマイクロチップ埋込施術を受ける
    *犬や猫の場合、首の後ろ辺りの皮下に埋込むことが多い
  3. 動物病院にて「日本獣医師会マイクロチップ登録申請書」を受け取る
    *動物病院に書類が無い場合は、AIPOより取り寄せる
  4. 郵送またはwebにて、マイクロチップのデータ登録申請作業をする
    *獣医師が必要事項を記入した登録用紙に、飼い主情報(氏名・住所・電話番号・メールアドレス等)を記入し、登録料をクレジットカード払もしくはコンビニ払または郵便局で振り込んだあと、AIPOに郵送またはwebにて手続きをする

・AIPOとは、Animal ID Promotion Organization (動物ID普及推進会議)の略称で、
マイクロチップによる犬、猫などの動物個体識別の普及推進を行っている組織のことです。

費用について

マイクロチップ埋込にかかる費用については、
マイクロチップ本体購入費用+埋込施術費用+飼い主のデータの登録事務手数料の合計金額となります。

AIPOへの登録事務手数料は、郵送でもwebでも1,050円とのことです。(令和3年10月現在)なお令和4年6月以降は、web登録の際の登録事務手数料は300円となる予定です。
都内の複数の動物病院に筆者が問い合わせたところ、マイクロチップ本体と埋込施術費用を合わせて5,000円~6,000円のところが多く、初診料や登録事務手数料含めると約8,000円~1万円程かかるようです。
お住まいの地域によっては助成金等の費用補助があるケースもあるようですので、費用の詳細や登録のお手続きにつきましては、かかりつけの動物病院にてご確認ください。

登録情報は変更可能!

データベースに登録された情報は随時変更可能です。
所有者や連絡先の変更、死亡による削除等、登録したデータを変更する場合、「データ登録完了通知書(ハガキ)」(もしくは申込書の「飼育者控」)をコピーし、その余白に変更事項を記入して、郵送又はFAXでAIPOに連絡します。Web手続きの場合、必要書類を画像に撮り、メールに添付して本文に変更点等を記載して送信する手順となっています。

「データ登録完了通知書(ハガキ)」もしくは登録申込書の「飼育者控」を両方紛失した場合は、本人確認の為、直接AIPOに問合わせる必要がありますので、初回のデータ登録後の控えの書類は大切に保管しておきましょう。初回のデータ登録後は、データ管理等にかかる費用や、データの変更のための費用はかかりません。

確かに手間とコストはかかりますが、マイクロチップは大切なペットの身元の証明にかなり有効であることがわかりました。
登録情報に変更があれば変更手続きをし、万が一ペットと離れてしまうことがあっても、探し出せる可能性が高くなるよう、責任ある飼い主として、できることは日頃から準備しておきましょう。

【参考】
環境省 平成27年3月「マイクロチップによる動物の個体識別の概要」

カテゴリ:ペットの問題と向き合う

キッズ・マネー・ステーション認定講師 ファイナンシャルプランナー/キッズ・マネー・ステーション認定講師 金銭教育を受ける機会を得られないまま社会人となり、家計のやりくりに悩んだことから平成二十年FP資格取得。「常識にとらわれず実践から学ぶ!」をモットーに、子どもたちが上手にお金とつきあえる大人になれるよう、試行錯誤しつつ活動中。動物全般大好きです♪