取材

知っておきたい!ペットと一緒に入れるお墓「樹木葬」

(キッズ・マネー・ステーション認定講師)

 

ファイナンシャルプランナーの髙柳万里です。
先日、近年急速に注目が高まっている『樹木葬』の現地見学をする機会に恵まれました。
その際、飼い主さんとペットが一緒に埋葬された実物のお墓を目の当たりにしたことで、色々と考えさせられるものがありました。

そもそも『樹木葬』とは?

厳密な定義が定められているものではありませんが、大きな特徴としては従来の宗派や形式にとらわれず、樹木や花木に囲まれた自然派志向のお墓の在り方と言われています。

樹木葬は、墓地の形状により大きく庭園タイプ・公園タイプ・里山タイプの3つのタイプに分けられます。筆者が見学したのはいわゆる『庭園タイプ』の樹木葬で、きちんとお手入れされた季節の草花や樹木に囲まれた、明るく落ち着いた庭園という雰囲気で、いわば『ガーデン葬』という印象を受けました。

なお『樹木葬』とはあくまでもお墓の種類のひとつであり、自然の中で散骨するわけではありません。

樹木葬の特徴3つ

筆者が見学した樹木葬には、大きく3つの特徴がありました。

  1. 期間限定
    →一定期間経過後はお寺でお骨を管理(合葬墓で永代供養)するため、墓じまいや承継者不要
  2. 宗旨宗派不問
    →お寺の境内内墓地だが、そのお寺の檀家にならなくてもよい
  3. ペットと一緒
    →ペットも家族と同じ石室に埋葬できる(お寺により例外あり)
【基本的なしくみ】※2人用収骨のケース
墓地の契約

一人目が永眠されたのち、二人目が永眠

13年間経過(最長で33年まで延長可能)

合葬されたのち、お寺にて永代管理

つまり、原則として契約後に二人目が永眠してから13年間は、個別埋葬期間としての利用が可能とのことでした。このしくみは、お墓のことでなるべく子や孫に負担をかけたくない、またお墓のお世話を頼める方がいない等、多くの人々の需要がありそうだと感じました。

【費用について】※2人用収骨のケース
今回見学した『樹木葬』は、墓石があるタイプでしたが、その素材やデザイン、また契約プラン等によって費用は異なります。
想定される費用としては、永代供養料+購入時費用+納骨時費用に加え、個別埋葬期間中は毎年の維持管理費用がかかります。
お寺の立地や規模により価格帯に幅はありますが、筆者がお寺で頂いた資料では永代供養料が80万~140万円程度、墓石への彫刻等の購入時費用が5万円以上、納骨の際の手数料等の費用が一回につき3万円以上、年間の維持管理費用は6,000円~10,000円でした。
ペットの埋葬にかかる費用としては、別途埋葬手数料として3万円程度、また諸費用として5万円程度が必要とのことです。

必ずペットと一緒に入れる?

一口に『ペットと埋葬可』と言っても、実際には様々な条件があります。

人と同じ石室内にペットの骨壺を埋葬できるお寺も増えていますが、中には同じ石室内ではなく、境内の敷地にあるペットのみの合祀用のお墓に埋葬するお寺もあります。

そのお寺のご住職の方針等により、ペットのお骨を人と同じ石室に入れられるかどうかは異なりますので注意が必要です。また、ペットのサイズや契約プランにより『粉骨』が必須となる場合がありますので、取扱詳細については各お寺に確認しましょう。

*粉骨とは?→骨を粉にすること。主に合葬・分骨・散骨の際に粉骨されています。

墓石にオリジナルのデザインを彫刻できるため、『ありがとう』『みんな一緒』などのメッセージとともに、ペットの姿のイラストや愛称を刻まれているものが多くありました。
犬や猫、ハムスターやウサギや亀にインコまで、様々なペットたちが、飼い主さんと同じ墓石にその名前を刻まれているのを目にして、このペットたちは最期まで本当に大切にされたのだろうなあ、と温かい気持ちになりました。

気になるところは見学すべし!

今回の見学会では、都内(港区/調布市)と神奈川県のお寺の合計3カ所を見学しましたが、同じ庭園タイプの樹木葬といえど、お寺の立地や規模等により、契約のための各種条件や費用が大きく異なることを実感できました。費用面だけではなく、最寄駅からのアクセスはもちろん、ご住職やお寺のスタッフの方々の対応等も、貴重な判断材料となります。

それぞれのお寺の境内の雰囲気や空気感等というものは、やはりその場に行ってみないことには感じられないものがありました。また個々のニーズへの柔軟な対応が可能かどうかは、ご住職やお寺の方針により異なることがわかりました。

従来のお墓にとらわれず、これからの自分や家族のお墓の在り方について深く考えてみたい方は、まずは気になるところをピックアップして見学の機会を持たれることで、具体的な将来のお墓像のイメージを膨らませてみてはいかがでしょうか。

ペット埋葬可や、おひとり様、LGBTへの配慮など、かつては顕在化していなかった現代を生きる多様な方々の多様なニーズに、可能な限り応えようと実践中の多くのお寺があることがわかり、ますます『樹木葬』の需要が高まっていく可能性を感じた見学会でした。

※なお個別埋葬期間中は同じ石室に埋葬することができる場合でも、最終的な合祀の際は、人とペットは別々の合祀墓に入ることになりますのでご注意下さい。
2022年9月時点の情報です。

取材協力
株式会社アンカレッジ

カテゴリ:取材

キッズ・マネー・ステーション認定講師 ファイナンシャルプランナー/キッズ・マネー・ステーション認定講師 金銭教育を受ける機会を得られないまま社会人となり、家計のやりくりに悩んだことから平成二十年FP資格取得。「常識にとらわれず実践から学ぶ!」をモットーに、子どもたちが上手にお金とつきあえる大人になれるよう、試行錯誤しつつ活動中。動物全般大好きです♪

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