猫の健康のための「5つの自由」ってなに?
家畜やペットたちの心身の健康を守るための「5つの自由」をご存知ですか?今回は「5つの自由」を参考に、飼い猫にとってより良い生活とは何かをじっくりと考えてみましょう。
目次
動物福祉の考え方(アニマルウェルフェア)
アニマルウェルフェア(Animal Welfare)とは、動物を感受性を持つ生き物としてとらえ、生まれてから死ぬまでの間、出来る限りストレスが少なく、健康的な生活を送らせることを目指す飼育のあり方を指します。
こういった考えが欠けていた時代は扱いやすさばかりが重視され、動物たちはまるでモノのように人々に使われてきました。そこに素晴らしいキッカケを与えたのが、イギリスのルース・ハリソン氏の『アニマル・マシーン』(1960年代)の出版でした。
もともとアニマルウェルフェアは家畜福祉の考えではありましたが、今ではペットにも同様であるとされ、世界中で認知されるようになりました。
動物と関わるすべての人が知っておくべき考え方と言えますね。
動物に必要な「5つの自由」
アニマルウェルフェアは少し漠然としていて、実際にどのようにすれば良いのか、ということについては触れていません。それについての具体的な基準に関しては、「5つの自由」というものが国際的に認知されています。
5つの自由
- 飢えと渇きからの自由
- 不快からの自由
- 痛み・傷害・病気からの自由
- 恐怖や抑圧からの自由
- 正常な行動を表現する自由
この5つの自由は、動物が生きることに必要な事柄を5つにまとめた指標になります。動物と関わるならば、この5つの自由を満足に与える責務があります。
5つの自由から考える猫の暮らし
5つの自由を参考に、愛猫の暮らしを見直してみましょう。
飼い猫の暮らしの多くは室内生活になりますが、室内においても猫の本能に寄り添った生活をすることがとても大切です。
今からあげるものが全てではありませんが、ぜひ参考にしてみてください。
飢えと渇きからの自由
フード
推奨されているのは「決まった時間にフードを与える」方法です。
成猫の場合は1日に2~3回、ある程度時間を決めてフードを与えましょう。フードは猫の体重に合わせた量で、猫の好みのものを用意しましょう。
置き餌の場合も、体重に合った適量のドライフードを与え、継ぎ足しはやめましょう。ウエットフードはすぐに傷んでしまうので、置き餌には不向きです。
身体の状態によっては、療法食を与えましょう。
お水
お水は常に新鮮なものを用意しましょう。ミネラル分の多い硬水ではなく、ミネラル分の少ない軟水を用意してください。日本の多くの地域は水道水が軟水であるため、水道水がおすすめです。
地域によっては水道水が硬水になるため、分からない場合は1度調べてみましょう。
水をあまり飲みたがらない猫には自動給水器を使い、流れる水によって猫の興味を掻き立てましょう。
不快からの自由
お部屋
猫はとてもキレイ好きな動物です。お部屋を清潔に保ちましょう。
トイレ
猫が特に気になる場所は「トイレ」です。臭ったり汚れているトイレでは排泄をしたがらないため、こまめに掃除をしましょう。
多頭飼いの場合はトイレがすぐに使用済みになってしまうため、部屋の大きさにもよりますが、「猫の数+1」個のトイレを用意しましょう。
猫用ベッド
猫が落ち着ける場所を用意しましょう。
痛み・傷害・病気からの自由
怪我や病気になった時には、なるべく早めにかかりつけの動物病院にかかりましょう。
普段から愛猫とこまめに触れ合うことは同時に健康チェックにもなり、異常にいち早く気づくことが出来ます。
恐怖や抑圧からの自由
愛猫が恐怖を感じたときのために、なるべく逃げられるお部屋があるとよいです。
愛猫に対して恐怖を与える人間にはその場で注意をし、行動改善を促しましょう。
また、猫は「なわばり」意識が強い動物です。他のお家に住む猫や野良猫、他の動物との接触はなるべく避けましょう。新しい猫や他の動物を迎えるときは、時間をかけて徐々に近付けるようにしましょう。
物音にも敏感なため、怯えている仕草を見かけたらなるべく短時間で用事を済ませましょう。
正常な行動を表現する自由
狩りをしたい
室内で暮らす猫でも、狩りの本能が消えることはありません。毎日10~15分程度はおもちゃで一緒に遊んであげましょう。
高い場所に登りたい
猫は本能的に高い場所に登りたがります。タンスなどの家具の上を気軽に登れるようにしたり、そういったものが無い場合はキャットタワーやキャットウォークなどを用意しましょう。
爪とぎしたい
爪とぎはとても大切な行動の1つです。爪とぎ出来る場所をなるべく多く用意しましょう。
たくさん眠りたい
猫は平均して一日に16~17時間程度寝ると言われています。睡眠不足にならないよう、猫が寝ているときはなるべく邪魔をせず見守りましょう。
さいごに
欧州に比べ、日本ではアニマルウェルフェアがまだまだ浸透せず、大きな遅れをとっています。
すべての動物のために、まずは身近な動物から始めていきましょう!
カテゴリ:まめ知識
- ペットdeペット編集部 うーたん 茨城県出身。現在、猫2匹とルームシェアをしています。キャットケアスペシャリスト。
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